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北海道米糀仕込醤油

商品コード : ss-01089

製造元 : 蝦夷ノ富士醸造

価格 : 961円（税込）

ポイント : 4

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■どっしりとした再仕込み醤油

（文・猿渡亜美／スロウ78号掲載）

第一印象は、どっしりとした芯のある醤油。塩味の中に、ほのかな甘みを感じます。淡白な魚の刺身によく合いそうです。昨今の醤油のトレンドは健康志向の減塩タイプですが、こちらはその逆の濃口タイプ。作り手は、蝦夷ノ富士醸造の池下雄介さん。2016年に会社を立ち上げ、栗山町で米糀、醤油や醤油糀、ポン酢などの商品を製造しています。

蝦夷ノ富士醸造の池下雄介さんが何よりも大切にしているのが、米糀づくり。米糀は醤油をはじめ、味噌やみりん、焼酎、日本酒などのあらゆる発酵食品の根本にあたるスターターのような存在です。「糀は生き物。100点を狙っていったら、120点にはならない。だから毎回、挑戦しているんです」。温度や湿度に加えて、匂いも基準の一つ。子どもの頃から30年以上にわたって培ってきた感覚をフルに活かし、丸2日間にわたる徹底した管理のもと、蝦夷ノ富士醸造の米糀は完成します。

写真上／蒸らした米に糀菌を植え付け、温度や湿度が管理された空間で寝かせます。池下さんはすべての作業を一人で行っています。

今回紹介する醤油は、濃口に分類されますが、米麹を添加し熟成させるオリジナル製法で作っています。再仕込み醤油の製法を取り入れた、小規模醸造だからこそできる手間のかかる製法。池下さんは再仕込みすることで米糀の良さが引き出され、濃厚でうま味の強い醤油となると考えています。

蝦夷ノ富士醸造の醤油に含まれる塩分は15パーセント。減塩志向の昨今においては、しっかりと塩分を含む濃口の醤油と言えます。塩分が多いのは米糀を活かすため、それから北海道民の舌に合うようにという理由もあります。「その昔、北海道は炭鉱など体力のいる仕事をしていた人が多く、その名残もあってか濃い味が求められると思うんです。だからガツンとくる醤油にしました」。古くから日本人が味わってきた“醤油らしい醤油”。池下さんの米糀にかける思いが乗っているかのような力強さを感じます。

■世界一の糀屋を目指して

「漬物が糀ブームの1.0だとしたら、塩糀による料理ブームが2.0、そして今、3.0に入ったと思います」。米糀は培養肉を作る際に活用されたり、世界での需要が高まっているのだとか。池下さんはパリで糀をはじめとした発酵のスペシャリストとしてプロジェクトに参画するなど、活躍の場を広げています。

小学生の頃から有言実行で事を成し遂げてきた池下さん。今は「世界一の糀屋になる」という目標を掲げています。「日本で米糀を作っているのは500軒ほど。業界が縮小し続けている中、自分以外に世界に攻めていく人はほとんどいない」。池下さんは積み上げてきたノウハウをもとに、糀3.0の先頭に立って世界へ踏み出します。

■商品紹介

色は黒く、どっしりとした醤油。淡泊な刺身によく合います。バターを乗せたご飯に醤油をかけて食べるのが、池下さんのおすすめ。

■作り手　蝦夷ノ富士醸造（栗山町）

長沼町にある創業100年以上の醸造会社の次男として生まれ、幼い頃から製造現場で「ぼっこ（棒）を持って走り回っていた」という池下雄介さん。そのとき自然に米糀の質感や温度感、匂いが身体にインプットされたそう。小学6年生の頃に書いた作文では「将来は糀を作る」と宣言しており、そのとおりに人生が進んでいきました。

一度、別の業界で社会人としての経験を積んでから、東京農業大学の醸造学科に入学。大学では子どもの頃から培ってきた米糀に対する感覚を、科学的に証明していきました。卒業後は実家で米糀づくりに携わっていましたが、より自分の思いを注げる環境で挑戦してみたいと考えて2016年に独立。起業から7年経った今、地元の有名ジンギスカン店から道外の飲食店、大手メーカーや海外まで取引先を広げています。