(文・猿渡亜美/スロウ70号掲載)
本誌58号で初めて登場したKONOMICHIのレザー×帆布トートバッグ。当時、私は撮影用の商品を見て、すぐに購入を決意しました。5色あるバリエーションの中から選んだのは、「雪解けの畑(青×茶)」。以降、デイリーバッグとして大活躍でした。
使い始めてからまもなく3年。雨の日も雪の日も、時には森の中にも持って行ったバッグ。気づけばクタクタのヨレヨレになってしまいました。私の無茶な使い方にも負けず、めげずに形を保ってきてくれたバッグです。きっと相性が良いに違いありません。次はより長く使えるように、オーダーで作ってもらおうと決心しました。
写真上/左が今回新しく作ったLサイズ。右が従来の商品。詳細は
こちらから。
レザー×帆布トートバッグの形自体は、お気に入りだったのであまり変えたくありません。内側に4つ、外側にも小さいですが2つのポケットがあります。これがとにかく便利なのです。常に持ち歩くグッズが多い私。スマートフォン、USBメモリ、ICレコーダー、イヤホン…。この6つのポケットはそのままにしようと決めていました。
一方で大きく変更したのは、底面とサイズです。底面は帆布ではなく、持ち手と同じレザーに。実は、従来のバッグで最初に弱ったのは底面でした。ビジネスバッグとして使っていましたから、直接床に置くことも。すると段々と傷が増えて、色落ちも気になってきました。だから、どんなところに置いても問題のないように、すべてレザーにしました。結果、高級感が出てとても良い感じになりました。
もう1つの大きな変更点がサイズです。従来のバッグはA4サイズが入るとはいえ、私がそれ以前使っていたバッグより一回り小さかったのでした。コロナ禍によって、どこでも仕事ができるようにとノートPCを持ち歩くようになったのも大きいです。A4サイズのノートPCが入り、なおかつポーチやノート、欲を言えば水筒も入れたい。そんなわがままを叶えるために、約1・5倍の大きさとなりました。
さて、肝心の色の選定ですが、工房に直接伺って決めました。「帆布は100色以上あるので、
実際に見て選んだほうがいいですよ」という籏谷さんのアドバイスを信じて大正解。ニュアンス違いの色数の多さに驚きました。濃いめの緑色にしよう、とだいたい決めていたのに結構時間がかかりました。選んだのはエバーグリーンという色。冬の時期、深みのある木々をイメージしています。レザーは帆布の色に合うものを籏谷さんにお任せしたところ、木の幹のような、力強い茶色を選んでくれました。
オーダーしてからバッグの完成までは約1ヵ月。最近、オーダーの依頼が多くなってきているという籏谷さん。今回、無理を言って作っていただきました。形は同じなのですが、大きさが変わるだけでも試作が必要とのこと。本製作に入る前に2〜3個作るのが通常だそうです。
こうして出来上がった新しいバッグ。初めて見たときは自分で依頼したのに、「ちょっと大きいかも?」と思いましたが、荷物を入れてみると完璧です。私は平均よりも少し背が高い(164センチ)ので、あまり大きく見えません。あとは使い込んでいけば、1年後くらいにはやわらかく馴染んでくれるでしょう。
私と同じように、普段から荷物が多いという方におすすめな新作。または1泊程度のお出かけで使うのもいいでしょう。北海道の暮らしによく馴染む、素敵な色合いのバッグになったと思います。
KONOMICHIの籏谷淳実さんにとっての革製品づくりは、昔からの憧れの仕事でした。始まりは革製品のショップに勤めていたとき、もらった革の端切れでライターケースを作ったことをきっかけに、次第に革加工にのめり込んでいく籏谷さんがいました。
15年ほど前、革のバッグや小物を製造する道内の大手メーカーに飛び込みで就職の直談判。見事採用され、職人として経験を積みました。6年間の修業の後、2013年、自宅のある札幌市内に遂に工房をオープン。前職で培った高い縫製技術や素材の目利き、そして断面(コバ)仕上げの妙などを活かして独立を果たしました。
商品サイズ:縦約30×横約40×マチ約16cm、持ち手約58cm
商品素材:倉敷帆布(8号)、革
備考:受注生産です。不良品以外の返品はできません。
※大きいサイズは1色のみ、通常サイズは5色展開です。
通常サイズは
こちら。