■和にも洋にも、昼にも夜にもすっと寄り添う陶の小物
(文・立田栞那/スロウ77号掲載)
日々の暮らしにおいて、必需品ではないかもしれない。けれど、心の平穏や自分のペースを取り戻したいとき、そっと力を貸してくれるもの。そのひとつが、キャンドルやお香といったアイテムです。使うのも選ぶのも大好き。でも意外と、それらを使うときのお皿や台にまで気が回らなかったり、ピンと来るものが見つからなかったり…。そんなちょっとしたジレンマを抱えているのは、私だけでしょうか。
「キャンドルやお香が好きで、でもなかなかしっくり来る道具が見つからなくて。自分が使いたいもの、部屋に置きたいものを自分で作ってみようと思ったのが始まりでした」。曲線的で角のないデザインは、インテリアの一部としてもほど良い存在感を放ちます。畳と箪笥のある和室、木を基調とした洋室のどちらに置いてみても違和感なく馴染むのがうれしいところ。何より土ならではの質感が、火がもたらす時間にやさしく溶け込んでくれるのです。お気に入りの道具があれば、小さな炎と香りを楽しむ時間がもっと特別なものになるということを、亜子さんの作品が教えてくれました。
古代ギリシャ建築の柱をモチーフにしたキャンドル立てと、波紋をモチーフにしたお香立て。「世界のいろいろな土地を訪ねるのが好き」だと言う亜子さんが、旅や生活の中で見た景色にインスピレーションを得て制作したものです。波紋のモチーフは、現在の拠点である函館の風景から生まれました。
「ある夜、赤レンガ倉庫の辺りを散歩していたら、海で魚が跳ねたのかポチョンという音がして、波紋が広がるのが見えたんです。夜の海に波紋が広がっていく光景になんだかすごく心惹かれて。『モチーフにしてみたい』と閃きました」。目をキラキラ輝かせて話してくれる亜子さんの表情からは、ものづくりに対するワクワクした気持ちがあふれんばかりに伝わってきます。
亜子さんにとっての陶芸の原体験は、父であり、陶芸家である堂前守人さんとの遊びから。「幼い頃、時々父が粘土を触らせてくれていて。そこで何かを教わったり、具体的な何かを作ってみたりしていたわけではないけれど、『触ることの楽しさ』はそのときに教わっていたように思います」。
陶芸家として歩み始めた亜子さんですが、とにかく好奇心旺盛なタイプ。最初から陶芸の道へ進もうと決めていたわけではなく、秋田で彫金を学んだり、東京ののアートギャラリーで働いたりと、心が向かうままに豊かな経験を重ねてきました。その中で見つけたのが、「自分の手で、素材に直接触れられるものづくりが好き」という思い。それならばやはり陶芸だろうと、今から3年ほど前、幼少期から学生時代を過ごした函館へと帰ってきました。
写真上/旧梅津商店を改装した工房兼ギャラリー、はこだて工芸舎。函館近郊の作家の作品が数多く並びます。
両親が「はこだて工芸舎」というギャラリー兼店舗をオープンし、そこにアトリエも併設していたことから、陶芸に打ち込める環境が整っていたことも、亜子さんの背中を押してくれました。「ろくろや窯などの設備があって、時には父に相談することもできる。これ以上ない環境ですよね。本当にありがたいです。ずっと『これだ』っていうものが見つけられずにいたけど、陶芸を選べて良かったなって今は心から思っています」。これまで重ねてきた経験や見てきた景色、出会った人への感謝。亜子さんの内側にある思いは、これからのものづくりに豊かに素直に表れていくでしょう。
■商品紹介 キャンドル立て
古代ギリシャ建築の柱をモチーフにした「PILLAR」シリーズの作品。ティーキャンドル用の作品です。付属のキャンドルを使い切った後は、ティーライトキャンドルを購入してご使用ください。ホワイトとブラウンの二色展開です。カラーはオプションからお選びください。
写真上/ホワイト、ブラウンそれぞれに火を灯したところです。
■作り手 堂前亜子さん(函館市)
堂前亜子さん。愛知県瀬戸市の学校ややオーストラリアの陶芸家のもとでも陶芸の技術を学んできました。
■商品詳細
セット内容(内容量):キャンドル立て×1、ティーライトキャンドル×1
商品サイズ:直径約6×高さ約10×脚の幅約2cm
※柱の太さや長さは個体差があります。
備考:
※受注生産です。不良品以外の返品はできません。
※手づくり品のため、掲載写真とは多少異なる場合があります。
■宅急便60サイズ発送(常温)
3点まで同一の送料でお届けします。
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■お届けまでの時間目安
ご入金確認後1ヵ月〜1ヵ月半ほどで発送予定。
※受注生産品です。
■熨斗
対応不可