■陶芸ひとすじ35年以上。挑戦は続く。
(取材・文/山口翠 スロウ69号掲載)
白老町虎杖浜。ここに工房兼ギャラリー「セラミックスタジオガク」を構えるのは、ガクさんこと吉田南岳さん。いつも編集部のことを気にかけてくれる、優しいお父さんのような存在です。
27歳で陶芸の道へ進み、かれこれ35年以上続けてきたガクさんですが、最近になってやっと自分の作風に自信がもてるようになったといいます。作る器は、色合いで言えば白と黒と、いたってシンプル。だからこそ「他にはないものを」、「武器となる工夫を」と常に心に置き、ものづくりに向き合ってきました。
「ただ単に焼き物を作るのは皆やっていること。もうひとつ踏み込んで、特徴のあるものを作って勝負していきたい」。例えば、器にストーリーをもたせること。ガクさんは「北海道の大地」をテーマに、自身の暮らすここ北海道で感じたものをかたちにしてきました。
「凍裂」シリーズは、厳しい寒さに凍りついた大地に走るひび割れを表面の縮れ模様で表現したもの。素焼きをした後、異なる焼成方法で本焼きを2回以上行うことで縮れを出しています。丁寧に磨き仕上げられた器は、ザラッとしながらも滑らかでどこかしっとりした肌触り。光の当たる角度で鈍く銀色の輝きを放ちます。和洋の垣根なく、どんな料理をのせても映える「凍裂」の黒。世に出して3年ほどが経ちますが、飲食店やホテルなどプロの集う現場からも引っ張りだこのようです。
実はこの「凍裂」、縮れを出すために試行錯誤を繰り返す中、失敗から偶然生まれたものだそう。「最近気づいたことなんだけど」ガクさんが続けます。「新しいものを作るときは基本から外れてみることも大切なのかなって」。基本に忠実でいるだけでは新しい発想は生まれない。勇気をもって、敢えて別の方法を試してみること。それが苦しいけれど楽しい道のりであることを、ガクさんと「凍裂」が教えてくれるのです。
■商品紹介
写真上/「和皿」という名前ながら、洋風のサラダを盛りつけても、この通り。何品かを少しずつのせたり、一品料理でも。ひとつ持っているだけで、色んな場面で重宝します。
■作り手 CERAMIC-STUDIO GAKU 吉田南岳さん(白老町)
「いつも新しいことにチャレンジできる自分でありたい。まだまだ変われる、そんな勇気を持って常に進んでいければ、自分にしかできない作品、世界が生まれるって信じているんです」。陶芸の世界ひとすじ、30年以上も作陶を続けてきてなお、純粋にものづくりに向き合っている人。そんなガクさんの言葉は、す〜っと胸の奥深くに染み込んでいくようです。「自分の手で素材を用意し、それを生かしたものを作る」。そうした思いを胸に、オリジナリティーを追求しています。
■商品詳細
商品サイズ:直径約25×高さ約2.8cm
■宅急便80サイズ発送(常温)
■お届けまでの時間目安
ご入金確認後5〜32営業日で発送予定。
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■熨斗
対応不可