■陶器の人形が語りかけてくるのは、北の大地の豊かさ、優しさ
こんなにも多くのことを語りかけてくるなんて。こんなにも多くの言葉を内包しているなんて。北路窯、高橋久子さんの手になる陶器の人形、フラワーポット・ハーベストを初めて目にしたとき、その世界に吸い込まれていくような感覚を覚えたのでした。
土くささと伸びやかさ。素朴さと優しさ。喉の渇きにも似た、どこまでも静かな叫び。裡から湧き出る渇望感。そこには底知れぬ力を秘めながら、渇いた喉を潤すためにだけひたすら土に向き合っている作者の存在が感じられたのでした。
目の前の高橋久子さんは、何だか最初に目にしたフラワーポット・ハーベストの人形のように思えてなりませんでした。自己主張とか我欲といった世界とは無縁。どこまでも自分の世界を大切にしながら、それでいて心底、好きな仕事に打ち込んでいる女性のように思えたからです。
心が高鳴る世界に出会い、その世界に飛び込み、技術を身に付けるために寝食を忘れて打ち込む。高橋久子さんが陶芸と出会った20代の時期。イギリス、ドイツ、そして笠間焼の地、茨城県へ。修業のまっただ中にあった高橋さんが腰を痛めたのは、未だ道半ばといった時期のことでした。ろくろを回せなくなった高橋さんには故郷である斜里町に戻ってくるという選択肢しか残されていなかったことでしょう。
10数年ぶりに戻った故郷。両親の下で痛めた腰の治療を行いながら、それでも土をいじることから離れたくなくて、ろくろを回さなくともできることをと作り始めたのが、フラワーポット・ハーベストの人形だったのです。一度は後にした北海道の大地の豊かさ、大きな包容力を感じながらの作陶。そこに多くの言葉が込められていたとしても不思議ではありません。
再びろくろを回せるようになった高橋さんは、結婚を機に濤沸湖の畔に移り住み、北路窯を構えます。作陶のテーマの多くは身のまわりの草木などの自然。原生花園を彩る草花。柏をはじめ、林の中の樹木などに創作意欲を刺激されながら土に向き合い、窯に火を入れる暮らしがここにはあります。
(編集部・萬年とみ子、スロウ42号より)
写真下/大サイズのほかに、小・中サイズがあります。
■作り手 北路窯(小清水町)
小清水原生花園、濤沸湖のほとりにある陶房。ろくろは大きな窓の側に置かれ、高橋さんは湖や林の様子に目をやりながら、35年以上作陶に励んでいます。モチーフに選ばれるのは、ツルウメモドキなど自然の中から。陶芸教室も開いています。
商品サイズ:横約15×高さ約47cm
備考:
※人形にはすべて、小さなドライフラワーの花束が付いています。
※手づくり品のため、掲載写真とは多少異なる場合があります。
■宅急便120サイズ(常温)
1点まで同一の送料でお届けします。
■お届けまでの時間目安
ご入金確認後5営業日で発送予定。
※在庫がない場合は最短で2ヵ月ほどお待ちいただきます。
■熨斗
対応可
対応可能な熨斗は以下の通りです。ご希望の方は備考欄に記入してください。
・祝いのし紅白蝶結び
・祝いのし10本紅白結びきり
・祝いのし5本紅白結びきり
・仏のし黒白結びきり