■北海道の大地を生きたエゾシカの革。赤ちゃんの歩みを優しく力強く応援してくれる
たくさんの幸せが訪れますように。健康で、元気に育ってくれますように。自分の力で人生を歩んでいく力を身に付けられますように…。ありったけの愛情と優しい願いを託されて、赤ちゃんに贈られる最初の靴。それが、人生で初めて履く靴、ファーストシューズです。
「シカ革を触っていて、この柔らかさはきっとファーストシューズにぴったりだと思ったんです。何より自分の子どもに履かせたいと思って」。シカ革の魅力について楽しそうに話してくれたのは、池田町のエゾレザーワークスの代表、長谷耕平さんです。
シカ革の特徴は、何と言っても柔らかさ。手に吸いつくように滑らかで、ふんわりとした弾力があります。「こんなに柔らかい革は初めてでした! エゾシカの革という、北海道だから扱える素材で靴を作れることも魅力的」とは、ミーシュカの橋本道子さん。エゾレザーワークスのファーストシューズは、橋本さんの手で1足ずつ作られています。
シカ革は、なめし方によってはもちろんのこと、季節やエゾシカの健康状態によっても風合いが違ってくるそう。山に餌が不足する冬から春先のエゾシカの皮は乾燥ぎみでやや薄く、十分な栄養を摂取できる夏(池田町では10?3月の狩猟期以外でも、有害駆除として狩猟が認められています)のエゾシカの皮はハリがあって健康的。長谷さんは、より上質な革をファーストシューズの素材として橋本さんへ提供しています。
靴型に合わせてデザインを起こし、ミシンや手縫いで縫製。靴底はスポンジを挟んで3枚重ねにすることで、赤ちゃんの足にかかる負担を軽減する仕様に。靴裏には滑りにくい牛革を使用しています。素足で履いても優しく足を包んでくれるのは、シカ革だからこそ。
製品には1点ごとにカードが付いていて、池田町のどこで撃たれたエゾシカの革であるかがわかるGPS座標が記載されています。「エゾシカの一生と、その物語を感じてもらえるきっかけになれば」と、長谷さん。一般的には知る機会のほとんどない情報。その必要性すら考えたことがない、という人も多いと思います。けれど、いきものから分けていただいた恵みによって、私たちは生かされているのだということを、決して忘れてはならないのだと、長谷さんの話を聞きながらしみじみ思ったのです。
黄色と緑に染めた革を組み合わせて作ってもらったファーストシューズは、スロウのオリジナルカラー仕様。まだ雪が残る頃、真っ先に花を咲かせる福寿草をほうふつとさせます。この大地にしっかりと足を踏ん張り、力強く踏み出す一歩を祝福するかのような色です。
皮をなめすのに使用するのも、100%植物由来の原料。1歳前後の赤ちゃん用で、足のサイズは12センチのみです(男女兼用)。赤ちゃんはすぐに大きくなります。その成長も楽しみに、履けなくなったら大切な思い出として飾ってください。池田町の野山を駆け回っていた野生のエゾシカの皮を原料としているため、細かい傷があることも。それもまた、この世にただひとつの特別な個性です。
■お手入れ
革靴と同じように、専用ブラシとクリームを使用してください。汚れが気になるときは、固く絞った布でふき、専用クリームを塗ってください。
■EZO LEATHER WORKS エゾレザーワークス(池田町)
池田町のエゾレザーワークスの代表、長谷耕平さんが、群馬県から、家族を伴って池田町へ移住を果たしたのは2016年のことでした。
長谷さんの暮らしの根源にあるのは、「自然の循環の中で生きていきたい」という思い。10代の頃に読んだ『ノーザンライツ(星野道夫著)』という書籍に強く影響を受け、自然と共生するネイティブインディアンに憧れていたと振り返ります。
狩猟免許を取得し、ハンターとしての活動を始めたことも、必然だったと言えるでしょう。そして自分でエゾシカを撃つようになったことで、長谷さんはシカ革の魅力に気づいたと言います。
天敵であったエゾオオカミが絶滅して以来、個体数を増やしているエゾシカ。崩れた生態系バランスは、森林の荒廃や農業被害など、人間との軋轢となって表れています。個体数をコントロールするために狩猟が行われていますが、撃たれたエゾシカの多くはそのまま廃棄されてしまうことがほとんどなのだそうです。
肉の加工に関しては比較的進んでいても、皮の活用はまだまだというのが現状。捨てられていく皮をただ見ていることは、長谷さんにはできない相談でした。シカ皮を自分の手で、あるいは道外の業 者に委託してなめし、全国の職人と協力して革小物を制作・販売するエゾレザーワークスが誕生した背景には、そうした事情があったのです。「いただいた命を、できるだけ無駄にしたくない」。そんな“あたりまえ”を、あたりまえに実践している長谷さんがいます。
そして長谷さんと一緒にファーストシューズの制作を担う橋本さん。洋裁や編み物が好きだったという母の影響なのか、橋本さん自身も小さい頃からものづくりが大好き。靴に興味を持ったのは、「作るプロセスがよくわからなかったから」。当時住んでいた稚内から札幌の靴づくり教室に通ったものの、「全然うまくいかなくて。ここで終われない! って、東京の教室にも通いました」。思い通りにはいかないからこそ、あれこれ考えて、勉強し、工夫する。それを繰り返して10年以上が経った今も、「頭でイメージしたものが立体となって目の前に完成することが、不思議でなりません」。ふふふ、と笑う橋本さんにとって、靴づくりとは尽きない興味を抱かせてくれる存在なのでしょう。
ファーストシューズの制作は、長谷さんと橋本さんが知り合った2017年に始まりました。試作をして、形や色の組み合わせを考え、靴底などの細部のデザインを決めていきました。販売を開始すると、たちまち人気に。お届けするのは、スロウだけのオリジナルカラーです。
■商品詳細
商品サイズ:足サイズ12センチのみ
商品素材:
・本体/シカ革、牛革
・中物/低反発スポンジ
備考:
※受注生産です。不良品以外の返品はできません。
※手づくり品のため、掲載写真とは多少異なる場合があります。
■宅急便60サイズ発送(常温)
1足まで同一の送料でお届けします。
※ギフト包装でお届けします。
■お届けまでの時間目安
ご入金確認後約1ヵ月で発送予定
※さらにお時間をいただくことがあります。
■熨斗
対応不可