2021 Jan
28

恵庭幼稚園×北清建設-4

薪ストーブが教えてくれたのは、 未来に繋がるたくさんの可能性

2016年1月。「馬搬」が行われると聞いて訪れた北清の森には、深い雪もものともせずに専用のワイヤーで太い丸太を運び出す、馬のキララとホースロガー(馬搬をする人という意味)の西埜将世さん(恵庭出身)の姿があった。息のぴったり合った大迫力の光景に、見学に訪れた園児たちも興奮を隠しきれない様子。

海外では今でも各地で行われているという馬搬。「馬が通れるだけの道幅があれば十分。大型の重機を入れるためにあえて広い道を造る必要がないから、環境や林床への負荷は格段に少ないんですよ。馬はササを食べてくれる上、糞はそのまま森の栄養になります」。説明してくれた相澤さんも、うれしそうだ。それもそのはず、これが北清建設として初めての木の伐り出し作業なのだという。雪が解ければ薪割りの会のメンバーや自社スタッフの手で薪づくりが行われる。もちろん、恵庭幼稚園の来シーズン分の薪としても使われることになる。

日本ではこうして人と馬が力を合わせて木を伐り出す光景は、本来身近なものだった(岩手などでは今でも行われている)。「この文化を残したい」。そんな強い思いから、訓練を積んで馬搬を行うようになったという西埜さん。森の中で馬が作業している様子は景観的にもいい。普段は人が来ることのない林業の現場にこうして人が集まることも、「きっと良い効果を生むはず」と話す。

西埜さんの言葉にじっと耳を傾け、キララと無邪気に触れ合う園児たちに目を向けながら、「ここまでやって、初めて意味がある」。井内さんが、しみじみ呟いた。

「薪ストーブは、子どもと自然を繋ぐ象徴的な存在のように思えます」。葉っぱを踏みしだく音、柔らかな土のにおい、頭上高くに伸びる木々の美しさ、四季折々の生命の輝き。それらを全身で感じながら森の中で遊び、その森からいただいた木を薪にする。薪のにおいや感触、ストーブにくべたときの温かさ。雪遊びでビショ濡れになった手袋を乾かし、正月には餅を焼き、節分には豆を炒って。

そうした日々の中での一つひとつの積み重ねが、知識として「知る」のとは比べものにならないほどの鮮烈な感覚や感動を伴って、子どもたちの心の深い所に刻まれていく。それはまるで種のようなもの。やがては芽吹き、豊かな感性を養分にしながらしっかりと根を張って、遠く高く枝葉を茂らせ、たくさんの実を結ぶ。そんな希望に満ちあふれた未来に思いを馳せるとき、子どもたちの笑顔と薪ストーブの温もりを思い出すのだ。ーつづくー(取材・文/家入明日美 撮影/菅原正嗣)

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話の主は…

恵庭幼稚園×北清建設

学校法人リズム学園恵庭幼稚園

恵庭市大町4丁目1-11 TEL.0123-33-2541

http://www.eniwa-youchien.com

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有限会社 北清建設

恵庭市黄金南3丁目1-17 TEL.0123-33-2032

http://www.hokusei-kensetsu.com

きょうの話は…

雑誌「northern style SLOW」vol.46 winter 2016より

https://www.n-slow.com/books/books-725

※「northern style スロウ」は、2004年に創刊した北海道発の季刊誌です。
大自然の恩恵を受けながら、丁寧に心豊かに暮らしている人々を、これまでにたくさん取材してきました。
できるだけ多くの方々に伝えたくて、少しずつですがWeb Magazineで紹介していきたいと思います。
毎週月曜日に1話ずつ。ぜひお楽しみください。
http://www.n-slow.com/concept

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