2021 Jan
28

丘の上珈琲(珈琲考房)

人の魅力に裏打ちされた珈琲の世界。誠実な味わいと広がる風景の美しさ

長沼町、馬追丘陵の中腹にある丘の上珈琲(珈琲考房)。料理やケーキの味を損なわず、むしろそれらの満足度を高めてくれる珈琲を毎日提供し続けているカフェ。丘の中腹にあるカフェの窓からは長沼町を眼下に、遙か遠くに連なる山並みまでも見渡せる美しい風景が広がっていた。

 
大学在学中に珈琲の師に出会う幸運をつかんだ武山さんは、卒業と同時に珈琲専門店を出す準備を始め、25歳のときに札幌市内に5坪程の物件を借りて最初の店を出す。学生当時から武山さんが目指していたのは、師と仰ぐ人の淹れる珈琲づくりに追いつくこと。「この人に負けない珈琲を作ることができたら、日本一になれるかもしれない」。毎日毎日、コーヒー豆を焙煎しては師のもとへと運び、感想をもらう日が続いた。
 
コーヒー豆を焙煎すると音と煙が出るため、住宅が密集しているところでは焙煎に集中できない。そんな悩みを抱えていた武山さんは、長沼町の友人の口利きで現在の丘の上珈琲(珈琲考房)の建つ土地を手に入れることになる。最初はコーヒー豆を焙煎するためだけの場所。丘の上珈琲(珈琲考房)として焙煎室のあるカフェを開いたのは1996年秋のことだ。

コーヒー豆は農作物だ。悪い豆を除いてやれば、自然に透明度のある珈琲になる。本来、コクと甘みがあるのがコーヒー豆。米と同じように、ローストしないと飲めないのもコーヒー豆だ。米が炊く作業で味が変わるのと同じように、コーヒー豆はロースト作業で味が変わってしまう。「透明な水みたいな珈琲を作ろう!」。武山さんはそう思って、一粒一粒豆をハンドピックで選別し、細心の注意を払いながら焙煎を続ける。2、3歳の子供でも美味しく飲める珈琲を出したいと思って始めたというが、今では武山さんの孫が武山さんの淹れた珈琲をシャバシャバ飲んでくれるという。

「人の見ていないところできちんとする。胸張ってする仕事をしたい」。丘の上珈琲(珈琲考房)はそんな仕事を理想とする武山さんの生き方に出会える場所でもある。(「北海道、私たちの旅 スロウなカフェを訪ねて③」2008年4月20日発行より)

話の主は…

丘の上珈琲(珈琲考房)

長沼町字加賀団体
TEL.0123-88-0820
営業時間/10:00~日没(10月~2月は17:00)
定休日/水曜(祝日の場合は営業)
*正月休みと夏休みあり
https://okanoue-coffee.com/

きょうの話は…

「北海道、私たちの旅 スロウなカフェを訪ねて③」(2008年4月20日発行)より

http://www.n-slow.com/books/books-580

※「northern style スロウ」は、2004年に創刊した北海道発の季刊誌です。
大自然の恩恵を受けながら、丁寧に心豊かに暮らしている人々を、これまでにたくさん取材してきました。
できるだけ多くの方々に伝えたくて、少しずつですがWeb Magazineで紹介していきたいと思います。
毎週月曜日に1話ずつ。ぜひお楽しみください。
http://www.n-slow.com/concept

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