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こだまみわこカレンダー2022 ※11月中旬発送

商品コード : ss-00832
製造元 : こだまみわこ
価格 : 2,850円(税込)
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■自然の「気配」を描く版画家、こだまみわこさん

(取材・文/片山静香 スロウ69号掲載)

赤い屋根の木造校舎。グラウンドには大きく育った木々と、見覚えのあるタイヤの遊具。この小さな廃校舎は版画家こだまみわこさんのアトリエで、沙流川アート館という名前が付いている。30年ほど前、旧川向小学校が廃校になった後から、数名のアーティストが共同アトリエとして創作活動を行ってきた。こだまさんはその一人。



少しヒンヤリと感じられる校内に入ると、スッと漂う「学校の匂い」が懐かしい。歩くとミシッと音を立てる木の廊下の先、元は教室だったという部屋がいくつか並んでいる。一番奥から一つ手前、木枠の引き戸の先がこだまさんのアトリエだ。

こだまさんの作品を通して感じ取れるのは、平取町に広がる風景と、それを感受する伸びやかな感性。豊かな自然と野生動物の気配が感じられ、広い放牧地で駆け回る馬の姿もそこここで見られる。日高地方ならではの景色の中に身を置きながら生み出される版画作品は、色づかいやモチーフの輪郭が、とても自由で柔らかい。

 

■流れ着くようにして見つけた居場所


北見市出身、油彩を学び、卒業後は札幌で美術専門学校の講師を務めていたというこだまさんが平取町へ移り住んだのは、今から30年ほど前のこと。

旅行でこの辺りを訪れた際に、立ち寄った喫茶店で「廃校をアトリエにしている人がいる」と耳にした。興味を示すと、「知り合いだから」と連れて行ってもらえることに。さらに、実際に見学した帰りに「実は他にも廃校になる学校があって…」と旧川向小学校を紹介された。ただの旅行から、トントン拍子で廃校アトリエの話が整った。



当時のことを振り返って「とにかく仕事を辞めたくてしょうがなかった」と笑って見せるこだまさん。講師の仕事をしながら、並行して自身の作品も制作する日々だったが、「全然うまくいかなくて」。逃げ出したい。どこか別の場所で、ゼロからもう一度「描く」ことを考え直したい。そんな気持ちを抱えていたタイミングだったから、廃校アトリエの話はまさに渡りに船。こだまさんは平取に来ることを決めた。

 

■版画との出合いで解放された伸びやかな感性


しかし、場所を変えても絵に対する「うまくいかない」思いは消えなかった。そんな中で出合ったのが版画だった。

平取に来て5年ほど経った頃。当時隣の教室を使っていた版画家に誘われ、「遊びで」版画をやってみた。それが意外なほどこだまさんの心にしっくり馴染んだのである。「楽しくやったのが良かったのかもしれない」。



写真上/宮沢賢治をテーマにした企画展を仲間とともに開催。写真はリトグラフ(写真製版)、文字はレタリング。

同時に、平取で暮らしながら制作を続けてきたことで、描くモチーフとして身近な自然を選ぶようになったこともプラスだった。「札幌にいた頃は、何を描いたらいいのかわからなかった」。しかしここには、描きたいと思えるものがあふれていた。「私は車を持っていないから行動範囲は限られるんですが、その分、この辺りの自然の中にずっといる感覚で。いつの間にか自然を描くことが多くなっていました」。少しずつ版画に取り組む時間が増え、いつしか油彩よりも多くの作品を作るようになっていった。

「油彩の場合は、『しっかり本物のように描く』ことをずーっとしてきていたから、ちょっとの歪みが目について『ダメ』と思っちゃう。でも版画なら、自由に描けたんです」。
 
例えば犬を描くとする。こだまさんにとって、油彩の場合は、足の向きや体のバランスなど、犬としての「図鑑的」な構造に目が行って、微調整に微調整を繰り返すうちに「つまらないもの」になってしまいがちだったそう。一方版画は専門外だったこともあり、犬の生物学的な「形」に囚われず、純粋に楽しいと思う図柄を作ることができた。



「きっちり具象で描きすぎた結果、つまんない絵を山ほど生み出してきましたから」と、笑うこだまさん。「じっくり時間をかけてお手本を見ながら書くより、何も見ず、何も考えずにササッと書いたときのほうが、下手でも“すごく感じが出てる!”って思うこと、ありませんか?」。

この感覚は、今でもこだまさんの作品の要になっている。「この辺は馬が多いから、馬を描こうと思うことがよくあるんです。でも、馬を上手に描きたいんじゃなくて、馬がいる風景の“感じ”とか、何かに驚いて一斉に駆け出した時のぶわーっという“感じ”とかを描きたい。だから、図鑑みたいに整った馬ではなくて、その“感じ”がより出るように描いています」。版画という表現方法と出合い、こだまさんは本来表現したかったものを表せるようになった。

 

■全体の調和、気持ちの良い存在の仕方


もう一つ、こだまさんが大切にしている感覚がある。それは見たときのきれいさ、気持ちよさ。版画の図柄を考える際は、どんなテーマであれ「色や形としていいもの、デザイン的にいいもの」を心掛けているという。

どちらかといえば、モチーフは二の次で、全体のデザインが優先。「チラチラッと小さいもの」、「ぶわーっと流れるようなもの」、「ギューッと真ん中に集まっているようなもの」など、抽象的な全体像をまず思い浮かべたら、それに合うイメージのモチーフを組み上げていく。動物を描くにも、「エゾシカを描こう」と最初に決めるのではなく、イメージを表現するためにエゾシカが必要とあればそこに配置される、という具合なのだ。



だから、こだまさんの作品は全体を1枚の絵として美しく完成されている。キツネやシカなどといった具体的な「意味のあるモチーフ」を抜きにしても、色の組み合わせや構図のセンスが良くて、見ていて心地が良い。

「あるべきところに収まる」、という言葉が浮かぶ。表面を取り繕った美しさではなく、全体としての調和。それは、こだまさん自身の在り方にも通じる。悩みの渦の中で辿り着き、いつしかしっかりと腰を落ち着けてここにいる。無理なく自然体で存在しているから、一緒にいて気持ちの良い人。それが版画家、こだまみわこさんだ。

 

■商品紹介


こだまさんが展覧会用に作った非売品の版画カレンダーが、復刻・商品化されることになりました。全ページ、数字や文字の一つひとつもこだまさんによる手彫りの版画作品です。こだまさんの20年来のファンである、札幌市の「おうちごはん野の」の池田さん(スロウ66号掲載)がプロデュースし、商品化に漕ぎつけました。カレンダーのテーマは「動物たち」。シカやキツネ、ネコに魚と、身近で見られるさまざまな動物が描かれています。ほぼ原寸大の板に1枚絵を彫り、手刷りで仕上げた作品。お届けするカレンダーは原画を印刷したものですが、こだまさんの作品の伸びやかな魅力がきっと伝わるはずです。


写真上/配色のセンスにも注目!可愛らしさがありつつも、落ち着いた印象です。他の月の図柄はお楽しみに。



写真上/壁掛け用、リング製本のカレンダーです。金具のロットなどによって多少デザインが変更になる場合があります。

 

■作り手/こだまみわこ(平取町)



平取町の市街地から少し離れた小さな集落。放牧地でのんびりと過ごす馬の姿が見られるこの地で、小さな廃校舎をアトリエに版画作品を生み出しています。元々は油彩を専門としていたこだまさん。版画を始めたのは、平取に来てから5年ほど経った頃でした。日高地方ならではの景色を、伸びやかな感性で表現しています。

 

■商品詳細


仕様:B4判(縦36.4×横25.7cm)、リング綴じ製本、片面刷り13ページ

紙質:アラベールFS

備考:11月中旬以降の発送となります。

 

■送料無料(定形外郵便発送)


1点まで同一の送料でお届けします。​

 

■お届けまでの時間目安


ご入金確認後5営業日で発送予定。

 

■熨斗


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