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リンゴ(つがる)

商品コード : ss-00829
製造元 : オホーツク・オーチャード
価格 : 3,100円(税込)
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■リンゴの苗木を植え続け、ひたすら実る日を待つ。流れた時間に注がれた夢を受け止め、生きる。

(取材・文/萬年とみ子 スロウ69号掲載)

北見市で果樹園を営む篠根(しのね)克典さんを訪ねたのは、8月上旬のこと。果樹園の正式な名前は「オホーツク・オーチャード」。当日の北見市は35℃を超える猛暑に見舞われ、目的地に着く頃には頭がボーッとして、目眩がするほどだった。住宅街を抜け、辺り一面、鬱蒼とした樹木に覆われている場所を抜けると、その先には坂道が待っていた。どうやら、篠根さんの果樹園は坂道の上、いや坂道の途中にあるようだ。住宅が見えてきたが、家の前を通り過ぎ、さらに坂道を登っていくとそこには作業所らしい建物が建っていた。「直売所」の看板が掛けられているから、きっとここが目的地に違いない。

迎えてくれたのは篠根さん本人だった。建物の奥に入っていくと、想像していたよりも中は涼しい。外観からは細部を想像するのが難しい建物で、外から見ていたよりもかなり奥行きがある。どうやら、建物の奥の部分の土手の斜面を削ってあるようで、洞穴のようにも見えるそこは、少しひんやりとしていて涼しい。篠根さんによると、そこは「リンゴを保存しておくための保管場所(冷暗所)」なのだそうだ。真夏でも外のように気温が上がることはなく、冬が近づいてもそれほど下がることもない。収穫したリンゴを一定期間おいておくために造られた天然の保管場所。建物の中が外に比べてしのぎやすいのは、ひとえにこの保管場所のお陰。次第に汗が引いていくのを感じながら、篠根さんの話に耳を傾ける。



篠根さんは果樹園の2代目に当たる。果樹園の広がるこの場所で豆やカボチャなどを育て、畑作農家を始めたのは篠根さんの曾祖父。同じ土地にリンゴの苗木を最初に植えたのは父親だった。昭和26年のことで、当時の父親の年齢は21歳。斜面が多く、坂の町であるこの場所で畑作を続けることに、将来性を見出せなかったのが一番の理由らしい。リンゴが高級品とされ、当時、リンゴの価格は驚くほど高かったという。リンゴの木箱ひとつの価格がアルバイトの1日の人件費を上回り、今で言うならおよそ1万円にもなった。まわりに果樹園が増え始めていたから、篠根さんの父親はそこに可能性を感じていたのだろう。

「世代間の確執、考え方の違いはあったと思う」。曾祖父や祖父が耕してきた畑に、父親はリンゴの苗木を植え始めたのだ。祖父は決して心の底から許した訳ではなかったことだろう。篠根さんはそんな風に想像するが、父親は徐々に、植える果樹の数を増やしていったという。リンゴの苗木を最初に植えてから、そろそろ70年近くが経とうとしている。



今でこそ30種類を超える品種のリンゴが実り、本数も700本を超えるまでに規模を拡大しているが、果樹園の成長という点で考えるなら、決して一朝一夕にそうなれる訳ではない。

昔から「桃栗3年、柿8年」などと言われてきた。果物の苗木を植えたとして、実がなるまでにはそれ相応の年月を要するということなのだろう。父親がリンゴの苗木を植え始めたのはおよそ70年前。4、5年が経つ頃、ひとつ、ふたつとリンゴが実り始める。少しずつ植える苗木を増やしていくが、商売として成り立つようになるのは、最初の苗木を植えてから10年、20年と経ってからのことなのだ。その間、畑作農業で家族を養いながら、業態を変えるために働き続けた父親がいただろうことは想像に難くない。

ある事業を立ち上げたとする。立ち上げた事業が軌道に乗り、利益を生み出すまでにかかる年月のことを想像すると、篠根家の果樹園経営に費やされた年月の重みが伝わってくる。幹が太くなり、枝葉を広げ、実を付ける。樹木が育つスピードを超えて、果樹園経営が軌道に乗ることはない。ひたすら待ち続ける時間に、人はどれだけの夢を注ぎ込むことができるのだろう。

 

■少年時代の幸せな記憶が詰まっている果樹園を後に、篠根さんは都会へ。
 

リンゴの木に咲く花の可憐な美しさを知っている人は、どれくらいいるのだろう。春が訪れるたび、美しく清楚な佇まいを見せてくれるリンゴの花を目にしたいからと、ただそれだけのためにリンゴの苗木を植えてみたいと願うほどだ。篠根さんが育ったのは、春を迎えればそれほどにも美しいリンゴの白い花の咲く果樹園でのこと。リンゴ農家としての夢を実現させようと、何十年もの間、ひたすら苗木を植え続けてきた父親の下で幼少期を過ごしたことになる。

リンゴが実り始めると、母親は規格外のリンゴを使っては、いつもジャムを作ってくれたと篠根さんは繰り返し、話してくれた。甘酸っぱいリンゴジャムの香り。幼い頃の懐かしい思い出。できたてのまだ温かいリンゴジャムを口にしたときの素朴で幸せな時間。リンゴの木に登って収穫を手伝ったり、ただただ木登りに夢中になったりして遊びに興じる少年時代の篠根さんの姿が脳裏に浮かぶ。木に登り、熟したリンゴをもいでは、服でこすってピカピカにみがき、ガブリとかじる篠根少年がいた。



篠根さんは地元の高校を卒業すると、宮城県の大学に進学する。卒業後は神奈川県の企業に就職し、やがて半導体の仕事に携わりながら時代の最先端で働くことになる。技術立国として、日本企業が最高に輝いていた時代のことだ。台湾やヨーロッパ各国を訪れては、顧客サポートにも当たってきた。当時の台湾企業で働く若者たちの真摯な仕事ぶりを肌で感じながら、「日本はこの国に、近い将来、追い抜かれてしまうに違いない」と考えていたことを今も忘れることができない篠根さんがいる。若かりし日の篠根さん。これから伸びようとしている国の勢いと若い息吹を肌で感じ、圧倒されつつも、技術立国の最先端分野で働き、自らも輝いていた時代のことだ。

間もなく、半導体関連企業のど真ん中で働いていた篠根さんにとって、辛い時期が訪れる。リーマンショックによって世界的な不況が始まり、受注が急減。社内での仕事が少なくなり、やがてまったく畑違いの部署に異動を命じられる。悶々とした気持ちを抱えながらの日々が続く。「このままでは、自分の知識、経験を活かすことができない…」。それは、篠根さんの仕事に対する気持ちに変化が起きたとしても仕方がないほどの大きな変化だった。若く勢いのある国の台頭。ノートを広げ、真剣にメモを取りながら、篠根さんの話に食らいついてきたあの若者たちの姿が浮かんでは消える。

 

■リンゴの苗木を植える。父親が続けてきた仕事を受け継ぎながら、そこに新たな道を刻んでいく。


「自分には父親が築いてきた果樹園がある…」。斜面に広がるあのリンゴの果樹園。春を迎えれば、美しい白い花に包まれる果樹園。リンゴジャムの甘酸っぱい香り。「故郷に帰る」という選択肢があったことで、この時期、篠根さんはもう一度、生きる意欲を取り戻そうとしていたことだろう。

「父親はビックリしてました」。生まれたこの土地に息子が戻ってくることなど、露程も考えていなかった父親がいた。首都圏に家を構え、すでに生活の基盤を築いてもいた。両親や家族が驚いたとしても無理はないほどの大きな決断。それでも、両親や家族は篠根さんの決意を受け止めてくれ、およそ10年前、篠根さんは果樹園の経営を父親から引き継ぐことになる。「息子は地元の小学校に転入したその日、さっそく友だちを連れて家に帰ってきました」。父親の生まれ故郷に移り住んだ自分の息子の逞しいまでの柔軟さに、ホッと胸をなでおろす篠根さんがいた。



篠根さんは今、かつての父親がそうしていたであろう「リンゴの苗木を植え続けること」を継続している。リンゴは品種によって、収穫時期が微妙に異なる。秋の間、収穫できるリンゴが途切れることのないよう、収穫時期の異なる品種を選んでは苗木を仕入れ、植えていく。

黄色いリンゴ、寒さに強そうな品種。もちろん、糖度、酸味などの点で特別においしい品種は多めに植える。毎年、5月初旬から中旬にかけて、篠根さんが欠かさず続けている仕事のひとつだ。



篠根さんが戻ってきてから変えたこともある。父親の代には一般消費者向けに一部、直販を始めていたが、一部は市場に出荷していた。まとめて買ってもらえるという点では助かったかもしれないが、考えた末に、篠根さんは収穫したリンゴの全量を一般消費者に直接売る道を選んでいく。

ちょうど10年ほど前から、少しずつ変化し始めた消費者の動向。時代の流れ、顧客の要望に対応しないと生き残れないという危機感が募る。当時、北海道では車社会が一段と進み、多くの人が「リンゴ狩り」などを楽しみ、同時にリンゴも買っていくという消費行動が広まりつつあったのだ。果物をはじめ野菜などの直売所が賑わいを見せるようになってきたのは、それよりもさらに以前、ここ30年くらいのことらしいが、その後に続いて「体験」を楽しみたいと考える消費者が登場してきたことになる。

もうひとつ、消費者に見られた大きな変化がある。顧客ひとり当たりの購入量が大きく減少し始めていた。以前は主流だった9キロ入りの段ボール箱ではほとんど売れず、客の多くは1キロ、2キロ入りなど、袋入りのものを購入していく。販売にかかる手間が大きく増えた。



篠根さんが直販に力を入れるようになったのは、5、6年ほど前からのことだ。父親の代にも直販に力を入れ始めていたが、篠根さんは生き残りをかけて直販に全力を注いでいく。同時に、「リンゴ狩り」の体験も受け入れるようになり、今では直売100%で果樹園を経営するようになっている。多くは口コミで広がり、時に団体での予約申し込みなども入るという。ちなみに果樹園にリンゴが実り始めるのは9月中旬くらいから。品種によっては11月上旬まで収穫できるものもある。

消費者に直に果樹園まで来てもらえる収穫体験や直売の良いことのひとつは、直接、客からの声を聞けることだ。「その場で食べてもらえ、おいしいとか、そうでもないなどの感想をもらえる」ことで、どんな品種のリンゴを増やせば良いかを考えるときの参考になる。市場などに卸してしまったのでは、こうはいかない。

 

■春夏秋冬、休みなく続けられる果樹園での仕事。今は化学肥料不使用の完全有機肥料栽培、減農薬での栽培に挑戦中。
 

リンゴの収穫が終わり、雪が積もる冬を迎えても、果樹園の仕事がやむことはない。冬か
ら春に向けてはリンゴの木の枝切り、剪定の仕事が待っている。冬から春の間のこれらの仕
事は、本来なら5月末頃までの仕事なのだが、年によっては7月頃まで続けられることもある。それほどにも大切な仕事なの。「枝が混雑して中まで陽が届かなくなると、枯れたり、花芽が付かなくなることもあるので」。リンゴの木は日差しが大好き。あらゆる枝にまんべんなく光が当たるように枝を切ったり、剪定したりの作業を怠る訳にはいかない。

古くなった木を伐り倒すことも必要だ。後に、新たな苗木を植えるためだ。伐り倒したリンゴの木はストーブ用の薪にされ、事務所部分の冬の暖房として活躍する。固いリンゴの木の薪は長持ちするというから、薪としては良品に違いない。

機械のメンテナンスをするのも冬から春にかけての仕事になる。花が咲き、実が付き始めると、今度は混み合っている部分の実を間引きする作業が待っている。これは夏の間の仕事ということになる。実を間引きながら、木が病気にかかっていないかのチェックも欠かせない。木の皮の部分を見ながら、ガサガサしていたり、引っ込んでいる部分があれば、注意深く観察し、病気であれば治療もするし、刃物を入れて傷んでいる部分を除いてもいく。樹木医のような仕事を兼ねながら、リンゴの間引きは続けられていく。



どこまでも労働集約型の仕事。神経を使い、手間のかかる仕事をしながら、最近の篠根さんが取り組もうとしているのは、化学肥料を使わず、農薬をできる限り減らす果樹園経営だ。見た目のきれいなリンゴを求める消費者が多い中、化学肥料や農薬を減らしながらリンゴを育てるのは、端で考えるほど容易なことではない。

それでも、2020年には使う化学肥料の量をそれまでのおよそ半分に減らし、今年はすべてを有機肥料に変えている。農薬には木酢液を混ぜることで少しでも量を減らせないかを実験中という段階だ。昨年の春から試し始め、今年で2年目を迎えている新たな試み、挑戦だ。どのタイミングで、どのくらいの量を減らせるのか、手探りで進めているという。

「味が良くなり、玉太りも良くなりました」。化学肥料を有機肥料に変えたことでの変化について、篠根さんはすでに、良い感触を得ているようだった。決してたやすいことではないことに挑戦し始めている篠根さんがいる。あの日以来、春夏秋冬、篠根さんはリンゴの果樹園で働いてきた。家族の助けに支えられながら、そして、今年も秋の実りを待ちながら。今このときも、果樹園の未来について、あれこれと思案を巡らす篠根さんがいる。

 

■商品紹介(リンゴ/つがる)


ゴールデンデリシャスと紅玉の交配品種によって生まれたのが「つがる」。甘みが強く、酸味が少ない品種で、ジューシーさに特徴があります。




 

■作り手 オホーツク・オーチャード(北見市)




首都圏からUターンした篠根克典さんにとって、子ども時代の懐かしい思い出と共にあるのが、父親が始め、軌道に乗せてきたリンゴの果樹園だ。経営を移譲されて以来、継続してきたこと、変えてきたことがある。そして、これから変えなければいけないことも。消費者の心をつかみながら、未来に続く道を歩こうとしている篠根さんの言葉は、今も清水のように心に沁み続け、広がりつつある。

 

■商品詳細


内容:リンゴ(つがる)

内容量:5kg(約25個)

備考:9月中旬〜10月中旬の期間限定販売
※時期、品種によっては品切れになる場合もあります。
 
 

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