2021 Mar
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神田日勝記念美術館-1

なぜ美術館をみて感動するのか?

最近めっきり回数が減ったが、何時間もかけて美術館へ足を運ぶことがある。イベントやスポーツ観戦のようなワクワク感を感じることもあるが、たいていの場合、それらとは違った心持ちで会場へ向かう。何か「今の自分に必要なものがそこにあるのではないか?」という期待感。僕の場合は、そうした理由から美術館を目指すことが多い。

美術館ではおおむね誰もが静かに作品を鑑賞している。視線は作品に注がれている。正確に言えば、作品そのものであると同時に、作品を通じて自分自身を観ようとしているのではないか? ひとつの作品の前でしばらくの間、静かに作品を鑑賞していると、いつの間にか自分と対話していることがある。

自分の知らない何かに出合うためにやってきたはずなのに、出合ったのは自分自身だった…。そんな体験をすることも少なくないのだ。

神田日勝記念美術館で学芸員を務める川岸真由子さんを知ったのは、帯広ロータリークラブでの講演だった。「神田日勝 創作の秘密」という演題で、これまで僕が知らなかった日勝の画業が語られていた。

神田日勝とは、鹿追町で農民画家として頭角を現すも、32歳という若さでこの世を去った天才画家。独学で画家となり、「馬(絶筆・未完)」(1970年)を遺した作家というイメージがあまりに強い。けれども、川岸さんの研究によると、同時代の美術の動向に強い関心を持ち、他の作家からの影響も見られるという。さらには、新聞や雑誌の写真図版を切り抜き、それらの図様が作品に取り入れられている。

農民画家であったため、実体験に基づく素朴な作風という誤解が日勝にはつきまとう。だが、自身の作風を確立するために研究を重ね、情熱を注ぎ込んでいたことが川岸さんの話から伝わってきた。

川岸さんは金沢市出身。北海道大学文学部へ進学し、芸術学を専攻した。修士課程の途中で金沢21世紀美術館の臨時学芸員に。育児休暇中の学芸員に代わり1年間だけ大学を休学し勤務する予定だったが、1年後に別な学芸員が産休に入ったため、勤務は2年に延長することとなった。大学に戻り修了したのは2015年3月。4月からは神田日勝記念美術館の学芸員として勤務している。ーつづくー(取材・文・写真/高原 淳)

■神田日勝記念美術館-1
神田日勝記念美術館-2
神田日勝記念美術館-3
神田日勝記念美術館-4

話の主は…

神田日勝記念美術館

鹿追町東町3丁目2 

TEL.0156-66-1555

開館時間 /10001700

休館日/月曜

http://kandanissho.com

きょうの話は…

雑誌「northern style SLOW」vol.55 early summer 2018より

http://www.n-slow.com/books/books-9266

※「northern style スロウ」は、2004年に創刊した北海道発の季刊誌です。
大自然の恩恵を受けながら、丁寧に心豊かに暮らしている人々を、これまでにたくさん取材してきました。
できるだけ多くの方々に伝えたくて、少しずつですがWeb Magazineで紹介していきたいと思います。
毎週月曜日に1話ずつ。ぜひお楽しみください。
http://www.n-slow.com/concept

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