2021 Mar
8

共立日和な休日-1

求めるのは心地良さ。だから、一緒にいたい人たちと共に

あれは、ほんの1、2年前。オホーツク地方、西興部の乳業メーカー、ノースプレインファームを訪れたときのこと。ミルクホールと呼ばれているショップ&レストランの奥。渡り廊下のような通路のその先、突き当たりにある隠し小部屋のような場所で、手づくり感いっぱいの小さなイベントが開催されていた。「旅するカフェ」。ネーミングに惹かれ、諸々の用事をその日に合わせて訪れたあの晩秋の日のことを思い出す。

 

北風に吹かれて雪が舞う中、旅するカフェは地元、西興部の住民や近隣地区からの人たちでにぎわっていた。寛いだ笑顔に満たされた空間は、ふらりと立ち寄った身にも充分に心地良い。コーヒーの香りが漂い、人々の間で交わされる会話のテンポがさらに心地良さを誘う。大きな木のテーブルを前に腰を落ち着け、買い求めたパンを噛みしめ、香り高いコーヒーを味わう。短時間ではあったけれど、旅先で手にしたこの時間は忘れがたく、長い間、ほのかな幸福感で心を満たし続けてくれた。

「共立日和な休日」。これまた、好奇心をかきたてるネーミング。調べてみると、あの旅するカフェの関係者たちが主催しているイベントらしい。場所は下川町。取材を申し込むと、開催日前日だったにも関わらず、気持ち良く受け入れてもらうことができた。

11月初旬の3連休。今ではすっかり通い慣れた、道北の町、下川町。市街地の少しはずれた辺りに姿を現したのは、歴史的建造物として町が保存している旧共立木材工業の社屋だった。樹木に囲まれ、夏にはハーブや野菜が栽培されていたであろう広く取られた庭のある木造の建物。今は建物の一部を利用して、フランス料理店「共立日和」が営まれているという。

玄関横には墨で共立木材工業と書かれた木製の看板が掛けられていた。引き戸を開け、玄関に入る。引き戸もたたきの床も、昭和の時代を彷彿とさせる。さらに木製の引き戸を開けると、そこは共立日和な休日のイベント会場だった。おそらくはその昔、木材会社の事務仕事スペースだったと思われる細長い部屋。寒さと湿気で曇ったガラス窓越しに、すっかり葉を落とした庭の様子が墨絵のように、うっすらと見えている。―つづくー(取材・文/萬年とみ子 撮影/高原 淳)

■共立日和な休日-1
共立日和な休日-2
共立日和な休日-3

話の主は…

共立日和

下川町緑町47

01655-6-7688 

月曜定休(不定休あり)

*今年の「共立日和は休日」は、10月6、7、8日に開催します。

詳細はnidoのHP(https://cafe-nido.com/)をご覧ください。

きょうの話は…

雑誌「northern style SLOW」vol.54 winter 2018より

http://www.n-slow.com/books/books-8619

※「northern style スロウ」は、2004年に創刊した北海道発の季刊誌です。
大自然の恩恵を受けながら、丁寧に心豊かに暮らしている人々を、これまでにたくさん取材してきました。
できるだけ多くの方々に伝えたくて、少しずつですがWeb Magazineで紹介していきたいと思います。
毎週月曜日に1話ずつ。ぜひお楽しみください。
http://www.n-slow.com/concept

category