2019 Jan
19

ナルセ養蜂場の道産はちみつ

私たちは、はちみつ屋

小さい頃、風邪をひくと母親が「はちみつを舐めなさい」と、ティースプーンでひとさじ、口に含ませてくれました。熱を持った喉にじ〜んと染み渡る甘く濃い味。戸棚の奥に仕舞われ、元気な時には迂闊に手を出せないような、金色でキラキラとした魅惑の液体。私の記憶の中のはちみつです。

 

戦時中は、米と引き換えにできるほどの価値があったというはちみつ。ミツバチたちが集めることで採れるはちみつは、貴重な栄養源として、また薬の代用品としても大切にされてきました。

そんなはちみつは、ミツバチを育てる「養蜂家」と呼ばれる人たちによって採取されています。ナルセ養蜂場もその名の通り、かつては鹿児島県からミツバチと共に日本を縦断する転地養蜂家でした。南北に長い国土を持つ日本では、花の時季に合わせて移動する転地養蜂が主。5月初旬のレンゲに始まり、ハゼ、トチ、ミカン、リンゴ、北海道に上陸してからはアカシア、クローバー、シナと花の時季は続きます。

全財産ともいえるミツバチの入った巣箱をトラックに積み、各地の蜂場に降ろします。そこでミツバチを活動させ、蜜が集まったところで採蜜。一斗缶に保管し、また次の蜂場に向かいます。養蜂を営んでいた頃の成瀬家も、幕別町で暮らすのは夏の採蜜の時期だけ。後に北海道に移住しはちみつ専門店になったのですが、3代目の一軌さんは今でも10軒ほどの養蜂家が北海道を訪れるタイミングに合わせて、巣箱の積み下ろしや採蜜の仕事を手伝っています。

「養蜂家さんは、1人や2人で作業をしている人が多く、その手助けをしたいという気持ちがあります」。それに加えて、養蜂家それぞれがどのように蜂を育て、どう蜜を採っているかを自分の目で見て確かめることで、はちみつを買う人に自信を持って薦めることができるのだそう。「はちみつの採取方法に大きな違いはありませんが、その年ごと、その土地ごとで味が異なるのが面白いところ」。最近では、はちみつの採れる量が少なくなってきているとのこと。さまざまな理由が考えられますが、山が切り拓かれて蜜源となる植物が少なくなってしまったこと、急に暖かくなったり寒くなったりと気候の変動が激しく、花の咲く時季が狂ってきていることなども教えてくれました。

いつでも戸棚の中にあることがあたりまえだと思っていたはちみつ。ミツバチたちの健気な働きと、養蜂家の手仕事。さらにはちみつにする人がいることで初めて手に入れることができるなんて。さらに今年北海道で採れたものと聞けば、その味わいは格別です。

「ミツバチが採ってきたそのものの味を楽しんでほしい」と話す、ゆにさん。「いつかはまた自分たちで蜂を飼って、はちみつを採りたいですね」と微笑む一軌さん。

「好きだから、はちみつ屋」。

そんなナルセ養蜂場の愛情がたっぷり詰まったはちみつ。数ある中から、北海道を代表し、かつ幅広い年代に愛されているアカシア、クローバー、シナの3種類のセットを。また、はちみつを使った周辺商品の中から、ナッツがたっぷり入ったハニーナッツ(シナ蜂蜜)を加えたセットを(スロウの通販で)ご用意しました。はちみつごとに異なる色や香り、そして味を食べ比べていただければと思います。ーおしまいー

 

話の主は…

きょうの話は…

雑誌「northern style SLOW」vol.53 Autumn 2017より

https://www.n-slow.com/books/books-7923

※「northern style スロウ」は、2004年に創刊した北海道発の季刊誌です。
大自然の恩恵を受けながら、丁寧に心豊かに暮らしている人々を、これまでにたくさん取材してきました。
できるだけ多くの方々に伝えたくて、少しずつですがWeb Magazineで紹介していきたいと思います。
毎週月曜日に1話ずつ。ぜひお楽しみください。
http://www.n-slow.com/concept

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