2018 Nov
15

ソフィア ファーム コミュニティー-3

まごころ込めて育てた作物をビンに詰めて冬を待つ。

その時に農場にある素材をビン詰めの原料にするため、中身はバラエティに富んでいる。なにせ農場では60種類もの野菜を栽培しているのだ。キャンベル家の水煮ストックは幾種類かに分けられる。カボチャ、ニンジン、インゲン豆、ジャガイモなどスタンダードな単品野菜系。ひとつのビンの中に複数の野菜が入ったミックス野菜系。そして、農場の牛やニワトリの肉と野菜が入った肉野菜系。ニンジン、玉ネギ、ジャガイモ、牛肉がひとつのビンに入ったゴージャスなものをこのみさんは「自家製レトルト」と呼ぶ。これがあれば、ひとり分のカレーやシチューがあっという間に作れてしまうのだ。

 

実際にこのみさんがホームキャニングをする様子を見せてもらった。準備する物は、耐熱性のガラスビンとビンを密閉するふた、中に入れる食材、水、それにビンを煮沸するための大きめの鍋。

このみさんがタンタンタンッと、ビンに入る大きさに手際よく野菜を切る。それからビンに食材を入れ、食材全体がしっかりと浸るまで水を注ぐ。それからふたをきっちりと閉め、水を張った鍋の中にビンを並べ、鍋を火にかける。食材によって煮沸する時間は変わるそうだが、目安としては鍋の水が沸騰してから15分ほど。それで作業は終了だ。後は冷めるまで待って、直射日光の当たらない涼しい場所に保管しておくだけ。あまりにも寒い場所に保管すると、中身が凍結し、ビンが割れてしまう恐れがあるので、その点は注意が必要とのこと。「ほら、誰にでも簡単にできるでしょう」と、このみさんが笑う。

続いてこのみさんは、野菜の酢漬けの汁を煮戻す作業に取りかかった。酢漬けも冬の大切な食料のひとつ。大根、インゲン豆、ピーマン、キャベツ、ニンジンなど、夏場に収穫し食べきれなかった野菜をスライスしておく。そしてある程度の量がたまると、酢、塩、砂糖を合わせて沸騰させ、冷ましたものにまとめて漬け、それを冬場のおかずとして食べる。漬けていると、次第に汁が傷んでくるので、時々、汁と野菜とに分け、汁だけを一度煮立て(煮戻す)、また元に戻すのだという。

夏場の野菜は短期間に大量に穫れ、かつ傷みやすい。畑は繁忙期のため、手間をかけて加工する余裕はない。けれど心血注いで育てた野菜を無駄にしたくない。それら心の葛藤。その問題を酢漬けは解決してくれた。

ベンさんが育ったのは、山岳地域の田舎町。そこでは毎年、家族や親戚、地域の人々が集まり、まるでパーティーのように、みんなで楽しみながら保存食作りをしていた、と嬉しそうにベンさんが話す。「今の仕事の根源にある、友愛や自由、平等の価値観は、その時に学んだんだ」。保存食について語り、手を動かす2人はとても楽しそうだった。農場では時折り、保存食作りの講習を行っているという。―おしまいー(「スロウ vol.42」2015年冬号掲載)

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■ソフィア ファーム コミュニティー-3

話の主は…

ソフィア ファーム コミュニティー

本別町西美里別707-1

TEL.0156-30-4048

http://www.sophiafarmjp.com/

きょうの話は…

雑誌「northern style SLOW」vol.42 winter 2015より

https://www.n-slow.com/books/books-147

※「northern style スロウ」は、2004年に創刊した北海道発の季刊誌です。
大自然の恩恵を受けながら、丁寧に心豊かに暮らしている人々を、これまでにたくさん取材してきました。
できるだけ多くの方々に伝えたくて、少しずつですがWeb Magazineで紹介していきたいと思います。
毎週月曜日に1話ずつ。ぜひお楽しみください。
http://www.n-slow.com/concept

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