ソフィア ファーム コミュニティー-2
本格的な冬の到来を前に、2人には薪割りと共に冬の食料を確保する、という重大な仕事がある。その際、欠かせないのがホームキャニングだ。キャニングとは、ビンや缶などの、食品を長期間保存できる容器に食べ物を詰め、煮沸すること。それにホームが付くから、手作りのビン詰め(もしくは缶詰め)、といった意味合いになる。
「(ホーム)キャニングはシンプルな方法だけど、とても合理的で、いろんなものに応用が効くんだ」と、ベンさんが話す。ベンさんはアメリカ出身。ホームキャニングは、アメリカではずっと昔からある、ポピュラーな食べ物の保存方法なのだという。
食べ物が腐る原因は、食べ物に付着する微生物の活動によるもの。微生物が増殖し、食べ物を分解して変質させてしまうことが、腐るという現象につながる。食べ物に付着する微生物を一度滅菌し、密閉してしまえば、微生物はその食べ物に寄り付くことができなくなる。つまり、その食べ物は腐らない。それがホームキャニングの基本的な考え方だ。
2人はピクルスやジャム、カレーなど、さまざまな食べ物にホームキャニングを利用している。時には、食べきれずに残った茹で野菜やスープなどもビン詰めにしてしまうのだそうだ。中でも、特にこのみさんが重宝しているのが水煮。畑作業が落ち着くタイミングを見計らい、このみさんはせっせとビン詰め作りに精を出し、大量にストックしておくという。水煮のビン詰めは、保存食として優れているだけでなく、「とにかく便利」とこのみさん。「ビンの中には、カットされた野菜が適量入っているし、煮沸する際に自動的に茹で上がるので、調理をするときにとっても楽ができるの」。中身は水と野菜のみ。添加物が入っていないところもまた、お気に入りのポイントなのだそうだ。―つづくー(「スロウ vol.42」2015年冬号掲載)
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